ゲームプランナーのお仕事

来月で、5年やったゲームプランナーの仕事をやめる。
色々なことがあったけれど、別の仕事を始め、時間が経てば、きっと今はあたりまえにやっているこの仕事のことも、どんどん忘れていってしまうだろう。
そうならないように、まだ自分がプランナーやってる今のうちから仕事のこと、少しずつ書き留めていこうと思う。
大海の砂粒みたいなブログだけど、幾人かでもこれからゲーム制作者を志す人たち目に留まって、多少なりとも役に立てばうれしい。

ということでまず第一弾。
そもそもゲームプランナーって何やるの?
新人で入ってきたとき、企画書を書くとかはイメージできたけどそれ以外は何やるのかよく知らなかった。
毎年入ってくる新人たちも大体そんなもんなので、まずはそこから書こうと思う。


原案・企画書作成

あたらしいゲームを考えて、企画書を作る。これは何となくわかると思う。
大体の場合はパワポ3、4ページくらいで原案というネタの一番基本的な部分がわかる書類を作って、その原案で行こうとなったらそこから10ページくらいで各モードの内容とかもう少しくわしく書いた企画書を作る。

概要書作成

企画書を基にして、更にそれをもう少し詳しくした概要書というものを作ることもある。
企画書はえらい人へのプレゼンとかにも使うけれど、これは制作チーム内向けの書類。
作らない場合もある。作る場合はだいたいディレクターかメインプランナーが作る。

仕様作成

概要書もしくは企画書を元に実際にゲームを作るうえでの設計を作る。これが仕様書。
ゲームの詳細なルール、ステータス、必要なオブジェクトのリスト、遷移図、画面レイアウトなどなどとにかく作るものすべての仕様を作る。プランナーの一番メインの仕事だ。
ちなみに英語だとゲームプランナーはGame designer=ゲームを設計する人という。「プランナー」よりこっちの言葉の方が実態に即していると思う。

ステージセット

アクションとかRPGとか、たいていのゲームにはステージ=プレイヤーキャラを動かす場所がある。
そこにアイテムや敵キャラ、街人みたいなNPCキャラ、ギミックとかを置いたりする。
アクションとかだと特にこの配置の仕方でおもしろさが大きく変わる。

パラメータ調整

キャラとかアイテムとかのステータス、上のセットで使うオブジェクトのパラメータの調整。いわゆるバランス調整。
ちなみにセットとか調整とかを専門でやる人のことを英語だとLevel designerという。

シナリオ作成

RPGとかアドベンチャーとかのようなストーリーがしっかりあるゲームだと、プロットを作り、そこからゲームにするために流れをチャートにして、一つ一つのイベントのメッセージを書いていくというのをやっていく。
シナリオはだれでも書けるわけではないので、シナリオ(メッセージ)担当のプランナーというのがいる。
プロットは外部のシナリオライターなどに頼む場合もあるけれど、それをゲームとしてお話をどう見せるかというのはまた特殊な仕事なので、ストーリーを専門家に頼んでいても制作内部でやることはかなり多い。
ちなみにメニュー画面などで出てくるようなシステムメッセージもプランナーが書くが、これはメッセージ担当の人が特別にいないようなゲームであれば仕様担当のプランナーか文章が得意な人が書く。

スクリプト

RPGやアドベンチャーなどのイベントシーンでキャラを動かしたりメッセージとの間をとったりという、イベントの流れを組むのがスクリプター
プログラムほどは難しくないスクリプトという簡単な言語みたいなもので、イベントの演出をする。

チェック

ゲームの中身が実装されたら、ゲームをプレイしてチェックする。
ここをもっとこうした方がいいとかがあれば、それをデザイナーなりプログラマーなりに伝えて修正してもらう。
開発が終盤になって、実装がほとんど終わればバグがないかのバグチェックをする。

制作管理(進行管理・スケジュール調整)

ゲームを作るときには、まずプランナーが仕様を作り、その仕様をもとにデザイナーが2Dや3Dの素材を作り、プログラマーがシステム作ってデザイン素材を組み込んで実際の画面に出す、という基本の流れがある。そしてその実装されたものをプランナーがチェックして、修正や調整をかけてブラッシュアップして、最終的に製品になる。
プロジェクト全体のスケジュールというのはプロデューサーかディレクターが作るけれど、企画、デザイン、プログラムの各セクションの細かいスケジュールはセクションのリーダーがまとめ、各人はそのスケジュールにそって制作を進めていく。
このとき、プランナーは自分の担当仕様のところはモノとしてのクオリティはもちろんのこと、スケジュールにも気を配る。プロジェクト全体を統括していくうえでの縦軸がセクションだとしたら、戦闘班とかイベント班とかいったパートは横軸で、プランナーはその横軸の中のまとめ役になる。
何か問題があったり、あいまいになっている部分などがあった場合には方針を決めるのはプランナーの役目だ。
また、最終的にゲーム全体の制作の締めの時期に入ってくると、残っている作業の優先度をつけて、より重要な要素がこぼれないようにしてゲームの完成度が高くなるようにする。



だいたいそんな感じ。
私はこの中ではスクリプトは全くやってない。あと、ストーリーもののシナリオ・メッセージはやってない。ゲーム業界に入りたいと思った時にはシナリオ希望だったんだけどなあ(^^; でもそれ以外は全部やった。5年目としては結構幅広くやってきたほうだと思う。

ゲームプランナーとかいうと、人によってはものすごく特殊な仕事のように受け取られることもあるけれど、やってみると実際の仕事っていうのは結構ほかの職業だったとしても役に立つことってすごく多い!企画アルバイトとか、大規模プロジェクトでセットとチェックしかしなかったとかいうと、ちょっと特殊な世界になってしまうけれど……。

次回意向はまだ決めてないけれど、原案の書き方、ゲーム業界のこと、プランナーのタイプと求められることなどなど考え中。
ではまたさらば。